けむり
〈煙2007〉

個人的な趣味のひとつに銭湯巡りがあります。都内だけですでに100件以上は入ったでしょうか。東京都公衆浴場業生活衛生同業組合発行の銭湯マップを見て、主に自転車で出掛けていきます。

最新の設備が整った銭湯よりは昔ながら宮造り、番台、富士山のペンキ絵的な銭湯が好みです。都心にありながらも暖簾をくぐると時間を逆戻りできる感覚と、ゆったり湯舟に浸かる開放感はたまりません。銭湯を探す際の目安はたいてい煙突になるのですが、最近では周りのビルのほうが煙突よりも高かったり、銭湯自体もかなりの数が廃業しています。この前まで存在していた銭湯がアッという間に更地になってマンションになっていたりします。これも時代の流れなのでしょうが、何十年もの時代を経て培われてきたものがなくなってしまうのはやはり残念です。

時代を経てきたものは独特な存在感や落着き、温もりがあって、同じ様な物を新たに作るのは不可能です。昨年末にも最も好きな銭湯の一つであった『廿世紀浴場』が廃業となってしまいました…。『廿世紀浴場』でひとっ風呂浴びて『亀島酒場』や『大林酒場』で一杯、というコースも出来なくなってしまいました。

今になって思うと『1010』誌のインタビューで写真を撮っていただいた事がいい思い出となりました。本当に長い間お疲れ様でした。とは言えまだまだ他にもいい銭湯がありますので、今のうちに皆さんも気軽な気持ちで気分転換に出かけられてはいかがでしょうか。2008.2 中根ケンイチ

***2008.10月現在建物は取壊されてはいませんでしたが「なんだか妙に空が広いなー。」と思ったら、残念ながらヒマラヤ杉は根元から切られていました……。

 

1010

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